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健康コラム

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耳が悪いとなぜふらつくのか 体のバランスと耳の役割

めまい

考えてみると、立つということは非常に高度なバランスが必要なことです。
人間の体は、骨と筋肉が靭帯で結ばれて、皮膚が包んでいる構造です。
したがって、何十何百とある骨(手や足には小さい骨がたくさんあります。背骨も多数の骨があります。)大小多数の筋肉が連動して体のバランスを保つために協同運動して、やっと立っているわけです。 健康な人は、立ったまま目をつぶっても倒れませんが、耳が原因(内耳という、頭蓋骨に埋もれた部分)でめまいを起こす人は、ふらついたり、立っていられなくなってしまいます。
では、体は、どのようにして、バランスをとっているのでしょうか?
それには、耳からの情報、目からの情報、筋肉や骨からの体重のかかり具合や筋肉のどこに力が入っているかという情報の3つがつかわれます。
内耳は、どのようにして、体のバランスを保つ役割をしているのでしょうか。
内耳は、三半規管と耳石器に分かれています。(当院ホームページ参照)三半規管にはリンパ液が入っており、それが動くことで流れが生じ三次元の回転運動を感知します。いわゆるX-Y-Zの三軸の回りの回転運動です。
耳石器は、卵形嚢と球形嚢に別れ、その中に炭酸カルシウムでできた耳石という石が詰まっていて、身体を動かすことにより耳石が動いて横方向と縦方向の直線運動を感知します。この感知システムにより、前庭感覚という体のバランス感が出てきます。これが、非常に鋭敏で、瞬間瞬間の体の動きを察知し、体の筋肉を調整して、倒れないようにバランスをとっています。

 

目は、もっと遅い動きに対応しています。むしろ周囲を見渡して足下のでこぼこや進行方向にある障害物を見つけて足を上げたり、迂回して避ける動きをしたりという方が主体です。もちろん歩きにくくなると、近くの足下を見るようになりますが、耳のバランス能力には、勝てません。目から入る情報は、2次元(網膜は、平面ですから、立体情報は入りません。)であり、3次元の情報に変えるのに時間がかかるのです。
体重がどこにかかって、筋肉のどこに力が入っているかという感覚は姿勢保持には重要です。深部感覚といいます。しかし、周囲の状況に影響されやすく、たとえば、足下が柔らかいふわふわしたところですと、その感覚がわかりにくくなってきます。また、糖尿病で神経が障害されると、もちろん深部感覚が鈍くなります。これを補うため、杖をつかうと、地面の感覚が杖の先から手につたわるので、倒れにくくなります。

 

結局、前庭感覚が直接3次元の情報を得られ、一番鋭敏な感覚です。従って、これが悪くなると、姿勢制御が出来なくなり、倒れやすくなってしまいます。
良性発作性頭位めまい症は、三半規管に耳石が間違ってはいりこみリンパ液が動き、三半規管を誤作動させるためにめまいが起きます。この耳石を頭部を回転させて元来た場所に戻すのが治療の根本です。もちろん戻しにくい場合もあります。そのときは、リハビリなども併用し、対処します。めまい止めをいくら飲んでも治らないめまいは、これが原因のことが多いです。自律神経障害、更年期障害、等の病名で漫然と薬ばかり飲んでいるときは、いちど、めまいをやっている耳鼻科で検査をうけてみてもよいのでは。

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